
人生が変わる研究インターンシップ、社会実装に触れて広がる研究キャリアとは
Interviewee
前田 涼汰
兵庫県立大学
AI Lab クリエイティブグループ リサーチインターン 兵庫県立大学博士後期課程。 研究分野は、コンピュータビジョン(CV)、コンピュテーショナルフォトグラフィ。カメラや照明などの光学系に工夫をすることで、通常のカラーカメラでは達成できない、イメージング技術の創出に取り組む。
三好 遼
中京大学
AI Lab 接客対話グループ リサーチインターン 中京大学大学院博士後期課程2年。橋本研究室所属。画像センシングによるヒューマンセンシングに関する研究に従事。博士課程では、心理学的知見を活用した動画像からのロバストな表情・感情認識をテーマとした研究に取り組む。
AI Labでは、若手研究者の実務経験価値が向上する機会を提供し、研究者育成に貢献したいと考えており、2018年度から博士後期課程の学生に向けてリサーチインターンシップを行なっています。リサーチインターンシップ中は、実際にAI Labの研究員と共にAI技術を用いた実践的かつより高度な研究テーマの課題解決に取り組み、ゴールのひとつとして各学術分野の国際カンファレンスへの論文寄稿・採択も目指しています。AILabでは今年も多くの博士学生の皆さんと研究に取り組んでおり、現在は冬期インターンの参加者募集を行っていますので、ぜひ併せてご覧ください。
(前田さん_クリエイティブ)
AI Labを知ったきっかけは、MIRUや、Visual Computing、SIGGRAPH Asiaなど参加していた複数の学会でCAがスポンサーになっており、研究発表を行なっていたからです。企業の研究所であるにも関わらず、事業に貢献しつつ、アカデミックな研究も積極的に行なっていることから興味を持ちました。その中で、CGチームでは、CGを中心とした幅広い研究テーマに取り組んでいることを知り、さらに私の専門のCVと親和性の高いテーマが多いことから、自分の専門分野を活かしつつも異なる分野のチームで研究することで、自信が成長する機会になるのではないかと考え、インターンに応募しました。
(三好さん_接客対話)
サイバーエージェントAI Labの博士インターンシップについては、国内会議(MIRU)のスポンサーブースやSNSを通して認知していました。また、博士課程修了後の進路として企業の研究所を考えていました。こうした背景から、企業の研究所で働く経験ができ、自身の博士課程で取り組んでいる研究とマッチした内容に取り組めると思い、インターンに参加しました。
(前田さん_クリエイティブ)
多視点画像からの髪の3次元形状復元に取り組みました。一般的な多視点画像からの形状復元の技術は、フォトグラメトリなどに代表されるように、既に実用的なレベルになっています。しかし、髪の毛のように細く・複雑な形状の物体に適用するのは、まだまだ難しいのが現状です。CAが取り組むデジタルヒューマン事業では、アーティストが手作業で髪のモデリングを行なっており、長い作業時間を要しているため、自動化を進めるための技術の実現が求められていました。今回のインターンでは、髪の形状復元に関する先行研究の再実装を行いました。経験の少ないC++を使いましたが、毎日少しづつ実装を行い、最終的に先行研究と同様の復元結果を得ることができました。今後は、この手法を発展させて、対外的な研究発表につなげたいと考えています。
(三好さん_接客対話)
HRI(Human Robot Interaction)におけるユーザの非言語的な行動から、ユーザがロボットと関わって感じた体験に関するデータセットの作成および、ユーザの体験を推定する手法の開発に取り組みました。ロボットを用いたサービスにおいて、ロボットはユーザを満足させたり、サービスを使ってよかったなと思ってもらう、すなわち、ユーザにポジティブな体験をもたらすようなロボットの行動を設計することが重要になります。そこで、そもそもロボットと関わった際のユーザの体験は推定できるのか?というリサーチクエスチョンを立て、ユーザ体験に関するデータセットの作成と深層学習による認識モデルの開発を行っていました。
▼研究の様子
(前田さん_クリエイティブ)
研究と事業との距離の近さに驚きました。インターン中はAI Lab全体の進捗報告会にも参加して、様々なチームの研究についての話を聞くことができました。その中で、多くの研究テーマが、アカデミックな貢献をしつつも、最終的に企業の事業への貢献することを目指していることがわかりました。また、AI Labは、サイバーエージェントの他部署や関連会社と強く連携しており、会社全体で研究成果を事業化に繋げて行くための体制が整っていることを感じました。
(三好さん_接客対話)
2ヶ月という期間で、1から研究テーマを設定、データを取得、実験結果を出すという一連のサイクルを回すために、多くの方と連携しながら研究を進められたのは大きな経験でした。博士課程の研究では、常に1人で取り組んでいるのですが、チームとして研究に取り組むことによって、1人では実現できない研究スピードが出せました。
▼1人ではなく、チームで研究を進めていきます。
(前田さん_クリエイティブ)
研究の進め方を改めて見直す良い機会になりました。今回のインターンでは、新しい研究アイデアを出すために、メンターの方と毎日のようにディスカッションを重ねました。サーベイをして、アイデアを出し、ディスカッションを行う。当たり前で、地味な作業ですが、このような作業の繰り返しにより研究が研ぎ澄まされていくのだと改めて気付かされました。今後の博士課程の研究でも、インターンでの経験を糧にして研究を進めていこうと思います。
(三好さん_接客対話)
研究に対する考え方が変わりました。博士課程での研究は、実験室環境下のみの実験や公開データセットを用いた実験しかしてきませんでした。今回参加した研究チームの接客対話グループではフィールド実験を重視しているため、実際のユーザのデータを扱った研究に取り組んでいました。そのような環境で研究に取り組んでみて、私自身、最終的な研究の出口は意識していたものの、研究が実社会に応用されるためのレベルに達していないと感じました。そこからは、よりユーザを意識して研究に取り組むようになりました。
(前田さん_クリエイティブ)
AI Labのインターンシップでは、博士学生が「研究」に取り組むことができます。メンバーの博士取得率も高く、研究に対する熱意があり、インターンの成果は対外的な発表を目指すことができます。そのため、研究をしたい博士学生にとっては理想的なインターン先です。少しでも興味を持った方は、是非インターンシップに参加してみてください!
(三好さん_接客対話)
企業で働く経験を得ながら、純粋に研究ができる環境として、とても充実した期間を過ごすことができました。第一線で取り組まれている研究員方とディスカッションしながら、豊富なリソースを用いて研究できることは、何にも代え難い経験になると思うので、ぜひ参加してみてください!
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