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広告の閲覧回数がユーザーのメディア観閲の継続に与える影響について


AILabでProFit-Xの分析を担当している安井です。

AdtechStudioで日々作られている広告の配信技術がインターネットにおいてユーザーにどの様な影響を与えているのかに興味があり、今回はその一環として広告の見られている数がユーザーのメディア観閲の継続にどの様な影響があるのかを分析してみました。

一般的にはインターネット上の広告は邪魔なものであり、当然それを避けたがる傾向があると考えられています。

また、[1]の研究ではSearch Engine Marketingの中での広告のユーザー行動への影響を考慮しており、この時の影響は検索は使い続けるが広告は無視されるようになるといった影響を仮定しています。

検索エンジンの様なインターネット上の行動でなくてはならないプラットフォームを考える時、広告の影響はそれが無視されることを想定する事が自然だと思えます。

しかしインターネット上のメディア観閲を考えると、ユーザーには「そのメディアを再来訪しない」という選択が存在しているので、広告の影響はメディアへの再来訪を妨げるという事を考慮する必要があるかと思います。

今回は上記の考えから、広告のより多いメディアにおいてはユーザーが再来訪する傾向が弱まるという仮定を置いてデータを見てみました。

ProFit-Xにおいて、広告の枠数は機械学習によってコントロールされているのですが、学習の都合上ランダムで枠数が決められている期間が存在しています。

今回はそのデータを利用しています。よって枠の数はランダムに振り分けられていますが、限られている期間と対象から得られた結果となっています。よって、今回の結果を一般化して捉えるには追加の調査が必要になるかと思います。

データの集計としては、ある学習の都合が発生している一週間における広告を見た数をユーザー毎に計測し、その後の3週間のPV回数を集計しました。

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横軸(X):最初の一週間での1pv辺りの平均広告観閲数
縦軸(Y):その後2週間でのPV回数
点の大きさ(Z):UU数
※数字はそれぞれ変換を掛けています

 

最初の1週間で一定数PVしているユーザーのみに着目し1pv辺り平均X回広告を見て、その後2週間でPVがY回だったユーザーがZ人いるという情報になっています。

この点の並びが右下がりになっていれば、広告を最初の1週間で多く見せられたユーザーはそうでないユーザーよりも次の3週間でPVしなくなる傾向がある事が解ります。

よってこの結果は、広告を多く見せる事で未来におけるPV数を減らしてしまう傾向を示唆する物となっています。この傾向が確からしいという裏付けは、pv毎に広告が見せられる数はランダムに決まっているという点にあります。

仮にPVが続きそうな人に広告枠を少なくするようなロジックが働いていれば、広告の枠の効果とロジックの枠選択の効果が混同してしまう結果になってしまいます。

しかし、残念ながら今回のデータでは「他の期間がどうなっているか?」や「別の要因が今の傾向を生み出しているだけの可能性」については考慮されていません。

最後に

インターネット広告がユーザーのメディア体験を阻害するものである事は、当然と言えるでしょう。しかし、同時に広告がメディアに対して、メディアを存続させるための重要な収益を提供する仕組みになっていることもまた事実です。

しかし難点はユーザーのメディア体験とのバランスです。メディア・マネタイズの部分は金額で扱われているため定量的に評価できますが、ユーザーのメディア体験は定量化がされていないので評価しづらく、結果的にバランスを上手く取れているかの判断が困難です。

そこで今回は間接的に、ユーザーの一定期間後の再来訪を「メディアに対するポジティブな行動」と捉えて、広告の表示数と再来訪の関係を探りました。

広告の枠の数が増えるとその後のPVが”平均的には”減るという結果になりましたが、より詳細なデータを見ていけばどの様な状況の時には再来訪が減らないかといった情報を見つけていく事ができるかと考えており、その情報を活用した広告配信を実現する事でユーザーのメディア体験を損なわずにメディアの収益を最大化出来ると言えるでしょう。

今後も広告の何がどう不快と思われるのかを分析し、ユーザーのメディアでの体験とメディアの収益を上手くバランスさせられるような広告配信の仕組みを提案し続けて行きたいと考えています。

参照

[1] Ad Auction Design and User Experience

http://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-540-77105-0_56

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kengo