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東京大学駒場祭学術企画『経済学研究の最前線』でお話したこと ~アドテク,経済学 , 機械学習,因果推論~
こんにちは! 新規事業開発室の2018年度新卒の金子です.
11月24日(土)〜11月25日(日)に第69回駒場祭の学術企画 『経済学研究の最前線』でサイバーエージェントとして出張講義をさせていただきました.
『経済学研究の最前線』という企画はUTEAという学生団体様の学術企画で, 高校生~学部1,2年生向けに院生が中心となって研究の紹介をするという企画だったのですが, 社会人代表としてサイバーエージェントにおける経済学活用例を紹介させていただきました.
発表資料は以下になります.
内容
近年GoogleやFacebookなどの海外のTech企業で経済学系の専門職の採用が盛んになっているという導入から始まり, 因果と相関の違い(因果推論の話), 現在のネット広告の仕組みについて話してから, Off-Policy EvaluationとAAAI 2019に採択された産学連携研究について軽く触れるという流れになっています.
特に後半のPolicy Evaluationの話は, 以前のリサーチブログの下記の記事が参考になると思います.
採択された論文についてのアナウンスは以下のpostです.
AILab安井とYale大学成田氏による共著論文が人工知能分野の国際会議「AAAI」にて採択ー
バンディットアルゴリズムを代表とするような機械学習を応用した意思決定の評価において、従来よりも評価における不確実性が少なくなる方法を提案、当社広告商品への導入を予定していますhttps://t.co/ShOGc1ic9m— サイバーエージェント 広報&IR担当 (@CyberAgent_PR) December 4, 2018
他の発表者の方が因果推論の話を別の切り口から発表をしてくださるなど非常にやりやすかったのですが, 25分の発表時間にまとめきるのは中々に大変でした… 発表後に質問に来てくださる方がいてくださって大変ありがたかったです.
頂いた質問
Q : スライド内のAIの性能差ってどこから来るんですか?
A : 例えばですが,使用する変数や機械学習の手法などによって変わってきます
Q : Off-Policy Evaluationの部分のどこで因果推論を使ってるのかわかりづらかったのでもう少し詳しく教えてほしいです
A : ものすごくざっくり言うと, 傾向スコアという「数々の変数(スライド内の例だと例えばosや時刻など)を条件つけた時に, 処置が割り当てられる確率」を用いて, ランダムに割り当てられていない状態で得られている旧/新システムの結果の差を上手く補正するということをやっています
Q : なんで経済学系の人を積極的に雇ってるtech系企業が日本だとサイバーだけなんですか?
A : 正直よくわかってないです, これから状況は変わっていくかもしれません…
資料を読んでくださった高校生 ~ 学部1,2年生への勝手な願望
高校生 ~ 学部1,2年生向けという内容で発表させていただいて,スライドの最後の方に「こんな感じのことが伝わればいいな」というのをまとめていたのですが, 特に「より大きな因果効果が得られる選択肢はなにか?」の部分についてもうちょっと補足したいと思います.
今回のスライドで触れた機械学習 + 経済学(因果推論)で「正しくAIの効果を推定する」という話は, 多分今後数年でネタが彫り尽くされてしまうと思います. とはいえ因果推論が賞味期限切れになるかと言われればおそらくそんなことはなく, 「次に何が研究されるだろうか?」ということを考えると因果効果が最も高い選択肢を反実仮想的に選ぶという話になるんじゃないかと思います. 最も効果の高い広告画像を各個人ごとに選べれば, あるいは作っていければ… みたいなことができればかなり夢のある話なんじゃないでしょうか? (映画『マイノリティ・リポート』では屋外における個人へのターゲティング広告の描写などがありました. あれはディストピアを描いたものでしたが…)
若干話がそれましたが, 機械学習 + 経済学という文脈で今回紹介したような研究がされているということ, そしてそういった形の研究を自分もしてみたいと資料を読んで思って頂けると幸いだなと思っています.
おわりに
今回の企画を行ってくださったUTEAの運営の学生の方々には貴重な機会を頂いて感謝しています. また, 高校生~学部1,2年生だけでなく, 上のスライドを通じて経済学を学んでいる学生がサイバーエージェントで経済学使ってこんな面白いことをやってるんだな, と伝われば嬉しいです!
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