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F5ネットワークスのシアトル本社を訪問してきました


こんにちは。アドテクスタジオでネットワークエンジニアをしている山本 孔明です。先日、F5ネットワークス(以下、F5)の本社訪問する機会がありましたのでレポートを記載しておきます。

F5ネットワークスとは

 

説明する必要もないかもしれませんが、F5はアメリカのシアトルに本社があり、ロードバランサーやSSL-VPN 等のアプライアンス、ソフトウェア製品を開発している会社です。ガートナーのマジッククアドランドでもリーダーの位置にあり、ロードバランサーの分野で地位を確立しています。

F5 Networks, Inc.(NASDAQ: FFIV、以下F5)は、Gartner, Inc.(以下 ガートナー)が2015年10月6日に発表した調査レポート「2015年版アプリケーション デリバリ コントローラ(ADC)分野のマジック・クアドラント(Magic Quadrant for Application Delivery Controllers)」にて、9年連続で「リーダー」クアドラント評価を獲得したと発表しました。

F5ネットワークス、アプリケーション デリバリ コントローラ分野の 2015年版マジック・クアドラントで9年連続「リーダー」に選出

 

弊社もF5社のロードバランサーには大変お世話になっており、アドテクスタジオの大量のトラフィックを安定して捌いてくれています。

 

概要

 

各テーマごとにセッション+ディスカッション形式で開催され、以下の Agenda でお話をさせて頂きました。

  • ITC Tour & SOC Overview
  •  Usability
  •  iRules / iRulesLX / iApps
  •  Executive Meet & Greet – Security Overview
  •  BIG-IQ Overview
  •  Hardware Platforms and Performance
  •  Orchestration Demonstration
  •  Cisco / VMware / OpenStack Alliance / RoadMap
  •  F5 Corporate Vision

 

Hardware Platforms and Performance や OpenStack 関連の RoadMap は元々興味がありとても参考になりました。特に OpenStack は Plugin にかなり力を入れるのが伝わってきていて OpenStack のリリースに極力合わせた開発をしていくと責任者の方が直にお話していました。細かいお話はNDAなどの絡みで触れることができないのが残念ですが、上記のセッションでの内容以外に現地のエンジニアの方々と主に現在のネットワークにおけるTCPの最適化周りでF5も一役買っているというお話で盛り上がったので少し紹介をしたいと思います。

 

F5のCONGESTION CONTROLについて

 

TCPの最適化周りで特に気になったのが CONGESTION CONTROL です。F5では以下のアプローチを挙げています。

  • Mobile Optimized Profile
  •  New Algorithms
  • Initial Congestion Window Size

AlgorithmsとしてWestwood+やVegas、Illinoisあたりが存在しますが、F5 では Woodside という名称の独自機能を実装しています。Woodside では以下のコンセプトを元に設計されており、現在のネットワーク環境(特にモバイル環境を意識)で起き得る課題を解決するように設計されています。

  • High Goodput
  • Minimal Buffer Bloat
  • Flow Fairness

従来は、パケットロス = Congestion という概念がありましたが、モバイル環境ではパケットロスが必ずしもCongestionにはつながらないため F5 は 11.5か ら遅延ベースとロスベースを合わせた Hybrid な Congestion 回避の仕組みを実装しています。実際のテスト結果が以下に簡単ですが開示されています。

 

TCP Optimization for Service Providers

 

tcp-optimization

出展:TCP Optimization for Service Providers

 

また、Mobile Optimized Profileは、tcp-mobile-optimized / mptcp-mobile-optimized profileがデフォルトでF5から用意されており、ユーザが簡単に設定可能になっています。mptcp(Multipath TCP)は現在のネットワークを考慮して設計されているようですが、実際効果はどの程度出るのでしょうか。検証してみたいものです。

 

 

https://support.f5.com/kb/en-us/products/big-ip_ltm/manuals/product/ltm-concepts-11-5-0/11.html

 

以下は、ご存じ Dev Central の DEVELOPER ARTICLE で見つけたものです。気になった部分を抜粋しておきます。

 

Stop Using the Base TCP Profile!

If you have an HTTP profile attached to the virtual, we recommend you use tcp-mobile-optimized. This is true even if your clients aren’t mobile. The name is misleading! As I said, the default profiles need work.

If you’re just a bit more adventurous with your virtual with an HTTP profile, then mptcp-mobile-optimized will likely outperform the above. Besides enabling Multipath TCP (MPTCP) for clients that ask for it, it uses a more advanced congestion control (“Illinois”) and rate pacing. We recognize, however, that if you’re still using the base ‘tcp’ profile today then you’re probably not comfortable with the newest, most innovative enhancements to TCP. So plain old tcp-mobile-optimized might be a more gentle step forward.

 

実はここまでお話をしましたが、弊社ではPerfomance L4を使っているのであまりTCPのProxyとしてF5製品を使うことを考えておりませんでしたが、他にもrate pacingやnagleの対応などTCPを終端される構成において活躍してくれるのではという新しい発見が何個かありました。この手の動作はまだ深く調査できていなですし検証もできておりません、今後深く調査していきたいと考えています。

 

ロードバランサーはサービスの肝になりますので、今後もF5の技術的な動向は追いかけていきたいと思います。

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