CVPR2023 | AI tech studio https://cyberagent.ai AI事業本部は、サイバーエージェントグループのデジタルマーケティング分野におけるサービス開発を行う組織です。 Sat, 23 Mar 2024 06:11:05 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.3.26 【採択論文紹介】クラウドソーシングを使った画像生成の評価 (CVPR2023) https://cyberagent.ai/blog/research/computervision/18702/ Thu, 06 Apr 2023 10:11:14 +0000 https://ai-blog-admin.cyberagent.ai/?post_type=blog&p=18702 Media fundamentalsチームの大谷です。今回はText-to-Imageモデルを人手で評価する方法について分析した研究について概説します。この研究成果はCVPR2023に採択されています。論文はこちら。

画像生成の良さはどうやって評価する?

最近は高品質な画像生成AIが発表されて、世間でも非常に注目されています。研究でもここ数年、大量の論文が出版されています。ですが新しい画像生成モデルが次々と開発されている一方で、そのモデルを評価する方法はまだまだ発展途上です。

生成された画像の性能を測る方法として、研究では自動評価指標が主に使われています。例えば一般的な画像生成でよく使われるFID(Fréchet inception distance)は、生成された画像の集合と本物の画像の集合をある特徴空間に埋め込み、その空間でそれぞれの分布がどれだけ近いかを測定しています。FIDは多くの研究で採用されていますが、欠点も多く報告されています。例えば、人の知覚としては軽微な変化に過剰に反応したりするなど、FIDにおいて良いモデルが人にとって必ずしも良いとは言えないことが知られています。

また画像とテキストの内容がどの程度正確に対応しているかを判定することも、まだ難しい点があります。最近は大規模な画像とテキストのペアデータから、画像とテキストの対応づけを可能とする強力なモデルが発表されていますが、十分に細かい内容まで正確に扱うのはまだ難しいところがあります。特にここ最近は画像生成モデルの性能がどんどん上がってきているので、生成された内容の正確性を評価しようと思うと、細かい対応まで考慮した評価が必要になってくると考えられます。

そこで今回の研究では、あらためて人による画像生成の評価に取り組みました。人は画像とテキストを高いレベルで理解することができるので、自動評価では見落とされていたことがわかるかもしれません。また人による評価ラベルを収集すれば、自動評価指標と人の判断のズレを分析することで自動評価指標自体の評価にも使えるなど、自動評価の改良にとっても有益です。

人によるText-to-Image生成評価実験の現状

これまでの研究でも人を使った評価実験は実施されてきました。ですが、この分野として共有された評価方法は確立されていません。そのため、論文がそれぞれみんな違う方法で画像の品質を評価しており、いったいどうやって評価したらいいのかわかりにくい状態になっています。

この研究ではまず主要なコンピュータビジョンの会議で出版されたText-to-Imageに関する論文など37本を調査しました。結果見えてきた現状の人手評価における主な課題は以下の2点です。

1. 実験の詳細報告が不十分
2. 収集されたデータの品質をチェックしていない

まず実験詳細の不透明性についてですが、例えば、一つのサンプルに対して評価したアノテータの数などはデータの信頼性を判断する上で重要な項目なのですが、ほとんどの論文でこの人数は明記されていません。また実際のアノテーションタスクで使われたインターフェースなども公開されていないことが多いです。

また、データ収集方法を正しく設計しないと、同じサンプルに対するアノテータの回答がバラバラになったり、間違った回答を誘発してしまいます。そのような問題を検知するために、アノテータの間の一致率をチェックするなど、収集したデータの品質をチェックすることは実験の信頼性を確かめる上で重要な手順です。しかし、調査した論文の中でそのような分析、特にアノテータ間の一致率を報告している論文はありませんでした。

人による評価実験方法の共有

このような現状をふまえて、今回の研究ではクラウドソーシングを使って評価実験をする標準的な方法を実装し、今後の研究でも使えるように整備することを目指しました。また分野として結果報告のやり方にも問題があることがわかったので、報告文のサンプルなど、今後の評価がやりやすくなるようなリソースを作ることにしました。

この研究では特に新しい評価方法の提案などはしていませんが、実験的に適切な評価方法の設計を探索しました。その過程については論文を参照ください。

自動評価と人による評価

実験ではいくつかの画像生成モデルを使って画像を生成し、(1)画像が本物に見えるか、また(2)入力キャプションの内容を正確に反映しているか、の2点について人手評価したデータを収集しました。そして自動評価指標の評価結果と比較しました。

まず主要な自動評価指標であるFIDの良さと、人が画像を本物らしいと判断するかどうかはあまり一致していないことが確認されました。このような傾向は従来の研究でも多く指摘されています。

もう一つの指標としてCLIPScoreと比較しました。CLIPScoreは、画像のキャプション生成のための指標として提案されましたが、最近では画像生成でも、キャプションと画像の意味的な類似度を計測するために使われるようになっています。この指標についても、やはり人の感覚とは異なる結果になることがわかりました。さらに本物の画像とキャプションのペアよりも、生成された画像との類似度の方が高く評価されていることも確認されました。少なくとも、より良いモデルができたとしても、その改善幅をCLIPScoreで適切に評価することはできなさそうです。やはり自動評価指標のみに頼ることはまだ難しいと言えるでしょう。

CLIPScoreの例。不正確な生成画像が高いCLIPScoreを達成している例。

キャプションに対応する本物の画像よりも、生成された画像の方が高いCLIPScoreを達成している例。テキストとの対応がより正確というわけではなさそうです。

人による評価のこれから

今回はクラウドソーシングを利用してText-to-Image生成を評価をする標準的な方法を整備しましたが、まだまだ改善の余地が残されています。たとえば、信頼性のある結果を得るにはそれなりの量のデータを収集する必要があるのですが、その結果、一回の評価実験にかかる費用は高額になりがちです。アノテーションインターフェースの改善や評価をするデータの選出方法を工夫することで、この費用を抑えることはできると思います。今回の実験方法はオープンソースにする予定なので、今後画像生成コミュニティで改善していくことができれば理想的です。

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【採択論文紹介】拡散モデルに基づく制御性の高いレイアウト生成モデル (CVPR2023) https://cyberagent.ai/blog/research/computervision/18618/ Mon, 03 Apr 2023 06:41:34 +0000 https://ai-blog-admin.cyberagent.ai/?post_type=blog&p=18618 AI Lab Creative Researchチームの井上です。我々のチームでは広告クリエイティブの制作支援と自動生成に関する研究開発に取り組んでおり、その中でも自分は特にバナー画像の自動生成技術の開発に取り組んでいます。この記事ではCVPR2023に採択された、拡散モデルに基づいた制御性の高いレイアウト生成モデルに関する論文について紹介します。

LayoutDM: Discrete Diffusion Model for Controllable Layout Generation 
Naoto Inoue, Kotaro Kikuchi, Edgar Simo-Serra, Mayu Otani, Kota Yamaguchi

はじめに

レイアウト生成は、コンテンツ生成のために「どこに」「何の要素を」配置すべきかのパターンを提示する基盤技術であり、バナーやスライド、ポスターなどといったグラフィックデザインの生成への応用が期待されています。近年の研究では実際にデザインを行なっていく上で大事な、ユーザの大まかで多様な指示に忠実に生成する「制御可能」な生成に着目した設定が多く提案されてきました(各設定の詳細に関しては昨年のサーベイブログ「レイアウト生成の研究紹介」をご覧ください)。いくつかの設定例を図1に示します。我々の研究は各設定に特化したニューラルネットワークを学習する従来手法と違い、全設定の生成を単一モデルで実現しました。

制御可能な生成の設定例

図1: LayoutDMがカバーする、制御可能な生成の設定例。Refinement はnoisyな観測が得られる時にレイアウトを微調整するタスク。

提案手法: LayoutDM

LayoutDMの要点を説明します。レイアウト情報は位置とカテゴリの情報を要素数個分持ちますが、図2のようにこれらを全て離散変数として表現し一次元の配列のようにみなします。拡散モデルは連続変数用のモデル (例: [1]) が有名ですがLayoutDMは離散変数用のモデル [2] をベースにしており、順過程では事前に定められたスケジュールで徐々にデータにノイズを加えていきます(実際には変数値がランダムなトークンに入れ替わったり、特殊なトークンに入れ替わったりします。)。逆過程では、現在わかっている情報を手掛かりに、より自然なレイアウトを推定することを繰り返して自然なレイアウトを生成していきます。逆過程は実際にはニューラルネットワークで表現され、事前にレイアウトのデータセットを用いて学習されます。テスト時のみ、我々は逆過程の各ステップにおいて、ネットワークの予測をユーザ指示によって補正することで(図2の赤字部分)、生成を制御可能にします。色々な指示の種類がありますが、それらが全てmasking と logit adjustment という2種類の方法で補正として表現出来るのが興味深い点です。

 

離散変数ベースの拡散モデル

図2: LayoutDMの概要。初期レイアウトと実際のレイアウトの間の順過程(右→左)・逆過程(左→右)が表示されている。各ステップでは上部にそのステップでのレイアウト、下部にそのレイアウトを表現する離散変数の一次元配列を表示している。 M は BERT [3] などで有名な mask token という特殊トークンを表している。

そもそもどうやって位置情報を離散変数にするのか、変数にノイズを加えるスケジュール、逆過程をモデリングするニューラルネットワーク構造、既存手法との違いといった詳細情報はぜひ論文をご覧ください。

実験結果

実験では、提案手法が既存の様々な設定の生成問題において、タスク特化型のモデルに近い、もしくは同等の生成クオリティを実現することを定性・定量的に確認しました。その例を図3に示します。実際のレイアウトとの類似度に加え、左右が揃っているか,不必要に要素同士が重なっていないかなどの観点からもLayoutDMが良い生成をしていると考えられます。

図3: ユーザ入力が与えられた時の生成結果の比較。Realは実際のレイアウト。左はRico [4]というMobile UIデータセットでの、右は PubLayNet [5] という論文のデータセットでの結果。C→S+P はカテゴリが与えられた時に位置とサイズを当てる設定。C+S→P はカテゴリとサイズが与えられた時に位置を当てる設定。Completionは幾つかの要素がわかっている時に残りを埋める設定。

LayoutDMは拡散モデルベースなので、生成にかけるステップ数は調整が可能で、生成の質と速度のトレードオフ関係を調整することができます。図4では、カテゴリとサイズ情報が入力として与えられた時にレイアウトを生成するタスクにおいて、様々な手法の生成の質と速度を比較したグラフです。提案手法であるLayoutDMが概ねベストであることがわかります。

推論ステップ数を変化させた時の精度とのトレードオフ

図4: 推論ステップ数を変化させた時の精度とのトレードオフ(Category + Size → Position)。FIDは低い方が良い生成結果であり,点・線が左下に行くほど良いモデルであることを表す。

 

おわりに

本研究では拡散モデルをベースにした、制御性の高いレイアウト生成モデルを提案しました。副次的な入力 (例: バナーの背景画像) も考慮に入れたレイアウト生成、画像やテキスト、詳細なスタイリング情報 (例: フォント) も含めた生成など、様々な拡張が考えられます。弊社では博士課程の学生を対象にリサーチインターンシップを募集しています。このような研究に興味を持たれた方はぜひ私たちに声をかけてみてください、一緒に研究しましょう。

参考文献

[1] Ho et al., “Denoising diffusion probabilistic models”, In NeurIPS, 2020.

[2] Austin et al., “structured denoising diffusion models in discrete state-spaces”, In NeurIPS, 2021

[3] Devlin et al., “Bert: Pre-training of deep bidirectional transformers for language understanding”, In NAACL, 2019.

[4] Deka et al., “Rico: A mobile app dataset for building data-driven design applications.”, In UIST, 2017.

[5] Zhong et al., “PubLayNet: largest dataset ever for document layout analysis.”, In ICDAR, 2019.

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【採択論文紹介】デザイナのグラフィックス編集工程を模した機械学習モデル (CVPR2023) https://cyberagent.ai/blog/research/computervision/18656/ Mon, 03 Apr 2023 06:41:27 +0000 https://ai-blog-admin.cyberagent.ai/?post_type=blog&p=18656 AI Lab Creative Researchチームの井上です。我々のチームでは広告クリエイティブの制作支援と自動生成に関する研究開発に取り組んでおり、その中でも自分は特にバナー画像の自動生成技術の開発に取り組んでいます。この記事ではCVPR2023にhighlight (採択された論文の中の上位10%です) として採択されたデザイナのグラフィックス編集工程を模した機械学習モデルに関する論文について紹介します。

Towards Flexible Multi-modal Document Models
Naoto Inoue, Kotaro Kikuchi, Edgar Simo-Serra, Mayu Otani, Kota Yamaguchi

はじめに

バナーやスライド、ポスターなどといったグラフィックデザインは、多くの場合オーサリングツール (例: Photoshop) 上で制作され、画像・テキストとそれに対する多種多様な装飾のメタデータ集合としてデータが保持されています。皆さんがデザインを編集する時、完成形にいきなり辿り着く事はおそらく非常に稀であり、大半の時間は作業中のデザインに対し、編集を加えて良ければ採用し、しっくりこなければ遡ってやり直す、というプロセスを繰り返すことになると思います。本研究ではこのプロセスをサポートするために、編集案を提示する機械学習モデルを提案しました。図1に示すように、提案モデルは作業中のデザインのマルチモーダルな情報を入力とし、レイヤーの配置、画像の当てはめ、細かなテキストスタイリングなど様々なタスクを行うことを目標としています。

図1: 提案手法で解くことが出来る、ベクターグラフィックドキュメント生成タスクの例。

提案手法: flexible document model (FlexDM)

このようなモデルを作るにあたって難しい点は2点あります。(i) デザインに含まれる変数の多様性: フォントサイズのような1次元で表現できる属性から画像やテキストのような高次元データまで、連続変数もあれば離散変数もあり、各要素あたりの属性数もそれなりに多いです。(ii) タスクの多様性: デザインの編集工程をステップ毎に見ていくと,実に多様な入出力対を扱っています。それぞれの状況に特化したモデルを作るのは非現実的です。

問題を解くための鍵となるデータ構造を図2の左側に示します。それぞれの要素の各属性を固定長の特徴量で表現すれば、グラフィックデザインは要素数 × 属性数個の特徴量ベクトルの配列とみなすことが出来ます。一番のポイントは、我々が扱いたいタスクの多くが実はこのデータ構造上では特徴量学習の文脈で頻出の「穴埋め学習」(例: 画像 [1] / テキスト [2] )とみなせることです。図2の右側のように、出力してほしい部分に [MASK] トークンを置き,ネットワークは周辺文脈情報からこの部分を予測します。様々な入出力パターンがこのマスキングパターンの切り替えで表現できます。

図2 左: 本研究で取り扱うデータ構造 (上) と その見た目及びレイアウトを描画したもの (下)。各要素が取り得ない属性 (例: 画像要素のフォント属性) は [NULL] を用いて埋める。簡単のために幾つかの属性をまとめて表記している (例: Position は実際には位置とサイズの4変数。) 右: 生成タスクとそれをどう穴埋め問題の枠組みで表現するかの例。

実験結果

提案手法で様々なタスクを解いた結果の例を図3に示します。グラフィックデザインには画像やテキストが最大十個程度存在しており、同時生成は技術的に挑戦的すぎるため、画像やテキストは事前に CLIP [3] で符号化して比較的低次な特徴量として扱っています。 提案モデルによって様々なデザイン過程がモデリングできることがわかります。我々はさらに既存研究で扱われていた幾つかのタスクにおいて、提案モデルがタスク特化モデルに近いパフォーマンスを示すことを定量的に確認しました。詳細についてはぜひ論文をご覧ください。

図3: FlexDMのCrelloデータセット [4] における予測結果の例。[MASK] トークンは入力側では グレーの塗り (画像)、ダミー文字列 (テキスト)、デフォルト値(その他特徴、例えばテキストの色やフォント)などで表されている。POS predictionは位置情報以外の全ての要素がわかっていて位置を当てるタスク。画像・テキストは予測された特徴量から素材データベース内で最近傍検索することで得た素材を表示して最終的な予測結果を可視化している。

おわりに

本研究では、デザイナのグラフィクス編集工程を模した機械学習モデルを提案・検証して一定の成果を得ました。提案手法は性能に関してはまだまだ発展途上で、画像・テキストの埋め込みに頼らない完全なend-to-end生成、より良いモデルやより大きなデータセットの構築、要素の有無よりも複雑な指示による編集 (例: 曖昧なヒントや言語指示)、など、様々な拡張が考えられます。弊社では博士課程の学生を対象にリサーチインターンシップを募集しています。このような研究に興味を持たれた方はぜひ私たちに声をかけてみてください、一緒に研究しましょう。

参考文献

[1] Devlin et al., “Bert: Pre-training of deep bidirectional transformers for language understanding”, In NAACL, 2019.

[2] He et al., “Masked Autoencoders Are Scalable Vision Learners”, In CVPR, 2022.

[3] Radford et al., “Learning transferable visual models from natural language supervision”, In ICML, 2021.

[4] Kota Yamaguchi, “CanvasVAE: Learning to Generate Vector Graphic Documents”, In ICCV, 2021.

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